~ワンエグ第三話のざっくりあらすじ~
いつものようにエッグガチャをするアイは帰り道、川井リカという少女と出会う。
リカはアイにお金を借りたり、ねいるのお見舞いについてきたりと自由奔放に振る舞う。アイの家にお泊りし、同じエッグ世界で共闘することになった二人。
そこでアイはリカが誰のために戦っているのか聞かされ、なんかいい感じの雰囲気になったが、敵のワンダーキラーの攻撃を受けてリカが石にされてしまう。アイは絶体絶命の状況で次回に続く...
~感想~
リカとアイの戦闘シーンがカッコいい!!
いやー今週は見せてくれたなって感じですね、これこそアニメーションの真骨頂!もう後半のバトルシーンの作画演出が凄いのなんのって…
普通に日常パートのアイの動きも凄くいいです、序盤のエッグを買いに行った帰りのスキップの動きとか、細部にこだわりを感じますね。
技術面でも一級品の今作ですが、今回は新キャラのリカがイイ味だしてました。
そして個人的に意外なのが毎話しっかり見せ場をつくる辺り、もっと作家主義的な作品かと思っていたがそうではないみたいですね。
しかし見え隠れするリアルなメッセージは、これが有名な野島伸司という脚本家か!!と痛感しています。
そんな私が感じた考察を少々
~これは私の個人的見解です~
リカと嘘
第三話で初登場の川井リカ
アイがエッグを買ってご機嫌で帰っていると。リカはいきなり倒れ、アバラが折れたと苦しみだす。アカとウラアカに自己責任だと言われ
『こんなとこにも悪い大人』とつぶやき、すぐに平気そうに立ち上がる。その後何事もなかったかのようにアイにお金を借りるリカ。
リカの痛がる様子は演技だったのだろうか?私はそこは重要ではないように思える
彼女は実際痛みがあったとしても、次の瞬間まるで痛みなどないように演技ができる
痛みがなくても、痛みがあるかのような嘘をつける
それが悪い大人を知っている嘘が上手な元アイドル、川井リカという少女なのだろう
自傷行為とかまちょ
リカはどうやら自傷行為をしていた過去があるようだ。
巷でいういわゆるリストカット(正確には違うが)である。自傷行為には様々な要因があると言われているが、かまってほしいという理由から自傷行為に及ぶケースは稀である。自傷行為は一人で誰にも言わず行われる事が多いのだ。
だから誰も気づかない、普段は明るいの人が実はリスカしてました。なんてことは多々ある。逆に言えば、弱い自分を普段発散できないからこそ、孤独な自傷行為に及ぶとも考えられる。どちらにせよ自傷行為は発散できない大きなストレスが要因であることが主である。
お風呂で独り言のように『もう切らないよ、約束だから』
と呟くリカのソレは彫像になった彼女のファン、チエミとの約束なのだろうか?とすれば自傷行為に及んだことを知っているほど親密な関係だったのだろう
不器用な愛
リカは彫像になった自分のファンであったチエミを救う為に戦っている。
リカは彼女のことをお財布ちゃんといい、友達じゃないとまで言う。
アイドルであったリカは、熱狂的ファンであるチエミが実は万引きのお金でリカに貢いでくれていたことを知った。
それを知った彼女は、ファンとは友達にはなれない、デブと一緒は恥ずかしい、もう来ないでくれ。とチエミにわざと嫌われるかのような発言をして突き放す。それは恐らくチエミの万引きを辞めさせるため。
しかし、そうであればあまりにも不器用な愛と言わざる得ない。相手を傷つける事でしか、愛を伝えられないという悲しい矛盾コミュニケーション。
それはアイへの歯に衣着せぬ発言にも現れている。
しかしそれは、愛の伝え方を知らないリカの複雑な家庭環境の現れなのかもしれない。
裸のナイフ
そんな自分を傷つけ(自傷行為)、誰かを傷つける(不器用な愛)まるで、裸のナイフのようなリカの武器はカッターナイフの形状をしている。まさに彼女にピッタリのように思えるが
アイのボールペンの武器を見て、『いいなー、これと取り替えてほしい』
という発言は彼女自身が自らの性格の変様を望んでいるようにも思える。
沢木先生とママ
回想で抱き合う小糸と沢木先生、毎回訪問してくる沢木先生とママとの関係性
ずっと不穏な香りしかしない沢木先生だが
あまりにも、あからさますぎてミスリードを誘っているようにも思える。
なにより、ママのアイが友達(リカ)を家に連れてきた時の喜ばしい顔は、先生との逢瀬を邪魔された母親の姿とは私には思えないのだ。
アイと部活
小糸と先生が抱き合う場面を見てしまったアイ
『小糸ちゃん部活終わ…』
という発言からするに、アイはどうやら部活に入っていたようだ。友達が小糸ちゃんしかいないと自称するアイが部活に入っていたとは驚きだ。
沢木先生の美術部顧問という肩書からみるに恐らくアイも美術部なのだろう
野島伸司とリアルな少女達
今回エッグから出てきた少女は自殺した歌手の後を追って、死んだのだという。
あまりにも軽そうに見える自殺発言に
『簡単でも軽くもない、熱狂的なファンって要するにそういう事』
とリカは自身の経験と重ねて言う。
これはウェルテル効果と言われる実際にある、報道による後追い自殺問題である。古くは太宰治から、最近では三浦春馬など。著名人の自殺の際は今ではマスメディアが報道規制を敷くのが当たり前になっている。
彼女らのパパ活発言など社会問題に切り込む姿勢は野島伸司ならではだろう
女性の嗜み
リカはお風呂にカミソリのようなものを持ち込んでいる。
もう切らないよ約束だから、という発言からリストカット用のカミソリにも見えるが。
もう切らないのならカミソリを風呂場に持ち込む必要はない
とすればこれはムダ毛処理用のカミソリと考えるべきだろう
これはアニメ初脚本の野島伸司らしい演出だ、通常こういったアニメで毛を剃る思春期の少女なんて演出はしないだろう。しかもそれが元アイドル少女というのがまた、皮肉めいたアニメという虚構を壊す斬新な演出とメッセージだと思う。
純粋無垢?
リカが『枕営業していたのかも?』というねいるに対し『枕投げ?』
と純粋無垢な返事をするアイ。『そう。』と枕営業の意味を知らないアイに同意するような形で返すねいる
しかし本当にそうだろうか?
アイは沢木先生と小糸が抱き合っている場面を見て急いで逃げていった。
クルミとも恋バナをする様子があり、アイドルに関しては一人握手会という表現を使うくらいは知っている。同い年のねいるは枕営業の意味を知っている、ネットに触れている今時の14歳なら知っていてもおかしくはない
アイは恐らくその意味を知っていたのだろう、しかしアイの枕投げという発言は『私はそういう話題には触れたくない』というテクニカルなコミュニケーション手段
とすればそれを察したねいるが『そう。』と返信してくれたことによりアイが安堵した表情にもみえる。
友達の条件
アイは3話の後半でリカの身の上話を聞いた後、リカをちゃん付けではなく呼び捨てしています
それはねいるも同様で彼女のことも呼び捨てしています。
しかし友達とアイが自称する小糸に至っては、小糸ちゃんと呼ぶのです。
どうも不自然に感じます。二話の友達の条件でも、友達ってなにするの?
とねいるに聞かれ、前回のエッグの少女、南から聞いた話をそのまましていました。
小糸とはそういう友達がするようなことをしてこなかったということなのでしょう。
だから、ねいるが言う友達の条件も誰かからの聞いた話しか出てこなかった。とすればアイにとって小糸は本当に友達なのでしょうか?
少し見えてきた、ワンダーエッグプライオリティという物語
今回はかなり気になる終わり方をしたので、来週が楽しみです!!
次回こそ!トサカにきたぜ!!